#011 建築設計競技応募作品

32nd Nissin Kogyo Architectual Design Competition 雨やどりの空間

Swing Tile (2005年制作)

Description[風景描写]

 その日の雨の強さにより、さまざまな旋律を奏でながらゆらゆらと揺れるタイル...。

 その音色と雨垂れにも似たリズムに誘われ、集まった他人同士が「雨やどり」という時間を共有する。せわしい世の中でも、ふと足を止めたくなるような空間。

 タイルの音色に雨を感じながら壁の隙間から雨足をぼんやり見つめる。「雨やどり」とは、偶然の出逢いが生まれる場なのかもしれない。

 無音の場所では、他人同士の会話は生まれにくい。逆に、あまりの静寂に気まずさを感じることもある。

 自然が奏でる旋律は人を引き寄せる。目を閉じてどこか懐かしい音色に聞き入る。偶然の大きな音でふと我に返ると、隣には音に聞き入る新しい雨やどり人。そして始まるちいさな会話...。

 やがて心の距離は縮まり、会話は盛り上がる。雨の音も、タイルの音も、耳に入らない程に。そこには雨が降っているか、やんでいるかはもう関係ない...。


Conception[設計主旨]

 日本においては古来より馴染み深い鹿脅し。この音を発する仕組みを利用して雨宿りのための空間を構築する。
 雨水が溜まり、ゆらゆらと揺れる箱状のタイルと、その接地点に鐘状の音源を設置することによって音を発生させる。
 このタイルと鐘の組み合わせ[Swing Tile]を、大小散りばめて
屋根に配置することによって、水の溜まり具合によってランダムな音が響きわたる音響空間を設計した。

Acoustics[音響計画]

屋根に配置されたタイルによって音を発する天井の音源は、その数と音量がスポット毎に変化し、聞き手の立ち位置によって違った印象を与える。

Device[音源の仕組み]

Structure pattern & Interior
[構造体の配置及び室内空間]
Scenes[シーン]
普段は風の気まぐれで音が鳴る屋根のタイル。雨が降り出すと、ゆっくり揺れ始め、音を刻む。雨やどりのために駆け込む人はもとより傘を差している人も足を止め、その音色に興味を注ぐ。 雨宿りという時間を共有する他人同士。ぼんやりと雨足を眺め、無言のまま、雨が上がるのを待つ。 雨が奏でる自然の旋律。ふと始まった小さな会話はやがて盛り上がる。雨の音も気にならないほどに...。
Variations[組み合わせによる配置]
勾配が緩やかに変化する構造体は、その勾配が逆転する5スパンを1ユニットとすることによって、敷地のスケールや周辺のランドスケープに応じ、組合わせを変更できる。 構造体の組み合わせによっては中心部に広い空間を確保できるため、公園等におけるあずま屋として、休憩や災害時の避難場所としても利用できる。 草原や海岸線など、大きなスペースに連続的に配置することによって、遊歩道や回廊として利用でき、構造体の隙間から、変化に富んだ景観を楽しむことができる。

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Oct.2005/Jo's Hiding Act-Graphy

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