#009 WORLD Space Creators Awards 2005 応募作品

「視・着・室」〜明日のシーンに出逢う室〜 (2004年制作)

conception:

 テーマ「明日の自分に出逢う場所」〜人とモノとの出逢いの場所〜に従い、課題である新しいショップスタイル

提案を行った。そもそも人が商品を購入する時のことを考えると、そこには本計画で「購買イメージ」と呼称している

使用感や使用光景と言った特定のイメージが存在する。しかし、売り手側はそれらを忠実に理解することは不可能である。

「どんな場面でも似合う服ですよ」とか無責任なことを言われて、購入したものの、家に帰ってから後悔することはよくある。

 商品の購入段階、ここでいう人とモノとの出逢いの場面で、「購買イメージ」を忠実に再現し、そのイメージの対象を正確に

選択することができれば、こういった無駄な買い物は無くなる。つまり、本計画で提案する人とモノとの良い出逢いとは、

「購買イメージ」を忠実に再現することによって間違いのない商品選びをしてもらうことにある。

device:

 この提案は、ショップの隅に存在するフィッティングルームの役割に着目し、その機能を拡大解釈したものである。この、

ある意味、モノと初めて出逢う個室において、客が持つ購買イメージをできるだけリアルに再現し、その状況下で試着ならぬ

イメージのフィッティングを行ってもらおうというものである。「購買イメージ」の具現化には、客が持ち込んだイメージの他、

シーン、季節、時間帯などによって、様々な背景画像(背景空間)を準備し、目的・用途に応じて選択してもらう。イメージの

3次元化には、ステレオカメラによる撮影(左右の2点撮影)と、最近注目されている液晶3Dの技術により対応する。

 上記の背景イメージに、室内でリアルタイムに撮影されている被写体の画像を合成することによって、それを正面に配置

された液晶3D画面に表示することによって、鏡を見ている感覚で立体視をしてもらう。

 人間同士の出逢いが様々な場所・場面で行われるように、視着室と呼ぶこの装置も、様々な場所・場面に設置する。

そのため、デザインはほどほどに、その機能性を重視し、出来るだけコンパクトに設計を行った。

構成: fitting room + situation room + pc room (2.5m×2.5m)

presentation:

買い手のイメージ、売り手のイメージ。

誰が着ても似合う服は無いように、どんな場面にも引き立つ

服は存在しない。

売り手は買い手の「購買イメージ」をほんとに理解している

だろうか?

「視・着・室」は買い手が本当に望むモノに出逢うための

一つのツールである。

購買にはイメージが伴う。

例えば、

楽器を選ぶとき、その音色をイメージする。

紅茶を選ぶとき、その香りをイメージする。

ランチを選ぶとき、その味をイメージする。

このように、人が商品を選ぶ際には、

「購買イメージ」が存在する。

出逢いは場所を選ばない。

ある商品は、その人の人生を変えるパワーをも持っている

かも知れない。そういった運命的なモノとの出逢いは、人と

の出逢いが突然であるように、決まった場所や時間などな

い。「視・着・室」はそのような運命的な出逢いを、まちの

いたるところで探している...。

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2004.12.S.I

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