連載記事
本頁では現在の都市が抱えている問題をひもときながら、それらの
解決策や工夫について提案すること目的とし、回を重ねながら考察
を深めていく。
1.現代の都市構造とそれらが抱える問題点について(3/18付)
一つは江戸時代までの近世の中心である。これらは農耕時代の生活を大きく反映したものとなっていると考えられ、山や川、海といった地形条件と密接に関係したものとなっていることが多い。一定の例外を除けば、地理的に有利な所に城下町などが形成されたものと考えられ、現在でも城跡に行政の中心がある都市なども多い。 二つ目が近世の中心である。明治維新の文明開化に伴い、鉄道や港湾を中心とした商工業が急速に発達する。鉄道や船舶による輸送や運搬が盛んになるにつれ、町の中心も物流が集中する駅や港へと移るようになったと考えられる。 三つ目が現代のモータリゼーションの発達に基づく、利便性を重視した町の中心である。これらは利便性のみならず、経済や政治、法律など、社会を取り巻く様々な問題と関係している。町の中心に関わらず、経済的に有利な場所に店舗を構えるといったことはよくあることであるが、政治の問題に関与したものでは、政経分離の考え方や縦割り行政の打開策として庁舎を郊外に移転するといったケースもある。また、法律に関しては、大店法の改正など、規制緩和によって、大型店舗が郊外に進出して新しい町の中心を形成するといったケースも多い。 このように現在の都市は三つのステップを経て形成されているものと考えられるが、それらが相互に関連しあって、健全な都市を形成しているものはそれほど多くはなく、それまでの町の中心と、現在の町の中心との兼ね合いに頭を悩ませている都市も多い。
日本の都市のほとんどは、大きく分けて三つの時代に形成された中心を持っていることが多い。
つづく...。